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群馬県大泉町視察
(国際交流・協力活動実践講座・第2回)

と き:11月26日
参加者:11名
レポーター:大関由美子


《午前》
 大泉町国際交流協会会長の山口氏、副会長の須田氏、峯ア氏、事務局長の坂井氏、町役場国際政策課の対比地氏にご出席いただき、お話を伺った。

大泉町視察 大泉町視察

〜大泉町〜
 「工業の町」と言われる大泉町は、群馬県の東南に位置し西から北にかけて太田市に、南は利根川を挟んで埼玉県妻沼町に隣接する。町の面積は17.93平方キロメートル、そのうち工業地域は約4平方キロメートルで、全体の22%を占める。人口は約43,000人、うち外国籍の人が約6,400人で全体の15%にあたり、全国一の比率である。
〜大泉町国際交流協会〜
 協会発足は平成5年。会長、副会長3名、役員15名(外国人4名を含む)、事務局で成り立ち、会員制ではなく行事については町の広報紙や会報紙で呼びかけている。総務・広報部、友好交流部、企画・事業部の3部会にボランティアの人々が登録し、各部会ごとで「外国人との共生」を目的にして事業の計画、運営が進められている。
〜なぜ大泉町に外国人が多いのか?〜
 なぜこの小さな町に外国人が多いのか?その9割が南米、日系ブラジル人であることが大泉町の特徴でもある。戦時中、大泉町には飛行場があり、多くの優秀な技術者が集まってきた。戦後、その人たちを中心に工業、製造業の街として発展した。バブル経済の中、日本人が3K(汚い、きつい、危険)を嫌う傾向にあり、平成2年に町の企業が労働力を要請し、雇用安定促進委員会が結成され、入管改正法に伴い日系ブラジル人の受入れが始まった。当初は住居、生活、子どものこと等細やかな配慮のもとに実行され、企業が責任を持ってコミュニケーションを心がけた。現在は人数も増え、人材確保は派遣会社が行うようになり、委員会も平成11年に解散した。
 このような状況の中、大泉町では外国人の教育、犯罪、町民とのコミュニケーション等の問題が深刻さを増していった。
〜急がれる教育問題の解決〜
 小学校4校、中学校3校に日本語学級を設置しているが、日本国籍を持たない外国子弟は義務教育の対象にならず、公立校に通う子ども達は約半数で、4分の1程はブラジル人学校(塾)に通う。残り4分の1の約160人ほどはよくわからず、不就学児童も多いという。
 一方、同じ学校に通わせている日本人の母親たちにも不安がつきまとう。考え方、習慣の違いからくる行動が与える子どもたちへの影響、お互いに「外国人は恐い」という感覚が拭いきれないでいる。
〜犯罪の増加〜
 最近は求人条件が厳しく、高い日本語力が求められるという。職に就けない若者や言葉がわからず時間を持て余す子どもたちが関わる種々の犯罪で留置場がブラジル人で埋まることも。その多くは、麻薬関係である。
〜望まれるコミュニケーション〜
 アパート、集合住宅のある地区では住民のうち40%が外国人というところもある。しかし、日系人コミュニティと町民の間にはあまり交流が見られない。生活習慣の違いからの苦情も多い。
 行政側も外国人登録窓口にポルトガル語、スペイン語を話せる人を雇ったり、カレンダーにごみの分類やごみ出しの方法を文字と絵で表示するパンフレット、日本の文化や生活をしていく上で必要な事柄を翻訳したもの等を準備している。また、町民と顔見知りになったり、地区のことを知ってもらうため「行政・地区役員・外国人」の3者懇談も計画したが、出席率は非常に悪く100人中5〜6名ほどであった。町に馴染もうとする意識の低さも伺われるが、企業に勤める40%のブラジル人が、日本人が敬遠する夜勤を担当している事もコミュニケーションを取りにくくしている一因かもしれない。


ブラジル料理店 ブラジル料理
本場ブラジル料理のお店でランチ


《午後》
 日伯センター代表の高野光雄氏より「ブラジル児童生徒の教育問題」についてお話を伺い、その後高野氏が運営する日伯学園(ポルトガル語で授業を行う私塾)を見学した。
 氏は1960年(23歳)にブラジルに渡り、約30年間農園等を経営、1989年帰国、1991年にセンターを設立。家族でブラジル人たちのサポートをされている。

高野さん
高野さん

〜望まれる日本語の教育〜
 現在は「出稼ぎ」の時代は終わり、家族で来日、生活の拠点が日本に移りつつある。しかし、教育の現状には問題点が多い。児童は、一日中町立校、一日中ブラジル塾、午前中あるいは土曜日のみ塾と様々。いずれ母国へ帰るから、両親が共働きなので兄弟の面倒をみる等の理由から就学しないケース、日本の学校に編入した時点での教育の遅れや言葉の壁にぶつかり不登校になるケース、親の勝手でブラジルのお祭り等に合わせて家族で帰国、数ヶ月間過ごし、再び日本の学校へ戻っても授業についてゆけなくなるケースなど問題の原因も様々である。「行くところの無い子どもたちは犯罪の予備軍。一番心配なのは麻薬です。」とのことである。
 日伯学園の授業は全てポルトガル語で行われている。日本に適応する教育より母国へ戻ったときのための教育を望む親が通わせるが、大半は帰国しない。帰国しても、日本と同等の条件では働き口が見つからず、また日本に来る場合がほとんどという。現状では塾の月謝は高く、親の負担が大きい。滞納や未納者も多い上、親の都合による生徒の移動も激しく、学園の経営基盤も不安定であるという。では、なぜ公立校に行かせようとしないのか、大きな疑問を感じる。


日伯学園


学園生徒と大学生ボランティアとのレクリエーション


学園の低学年クラス


《視察を終えて》
〜将来の日本の姿?〜

 日本語がわからないために就職できない、学校の授業についていけず不登校になる。その結果、時間を持て余すことになり、犯罪を増加させる「元凶」となるなら、早急に何らかの手立てが必要であろう。大泉町の問題は、少子化による労働力不足で今以上に外国人労働者の受け入れが予想されるこれからの日本の縮図であるかもしれない。
 今回の大泉町視察は、外国人との共生が抱える問題、そしてその解決がどれほど容易ではないのか知る機会になった。ほんの一部なのかもしれないが…。お互いの国の文化を理解し、良い影響を受け合うことができたら、どんなに素晴らしいことか。「地域に溶け込もう」、「手助けをしてあげよう」そこから一歩が始まる。


(c)2004. HIGASHIMATSUYAMA INTERNATIONAL FRIENDSHIP ASSOCIATION. All rights reseaved.

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